有松絞りに宿る、見えない手仕事
- 3 日前
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有松絞りと出会って、もう7年ほどになります。
何度も触れ、何度も制作に使ってきたはずなのに、
その凹凸に指先が触れるたび、
私は今も変わらず心を惹かれます。

昨年は、有松の工房を訪れ、
職人さんのお話を伺う機会にも多く恵まれました。
完成した美しい布を手にすることはあっても、
その背景にどれほど多くの手仕事が重ねられているのかを知る機会は意外と多くありません。
実際に工房を訪れて感じたのは、
一枚の布が生まれるまでには、
想像以上の時間と人の手が重ねられているということでした。

一手一手、布をくくる仕事
有松絞りは、江戸時代初期から約400年以上受け継がれてきた伝統工芸です。
有松絞りには100種類以上の技法があるといわれており、それぞれに異なる表情があります。
Orinuvaで使用している「やたら三浦絞り」も、そのひとつ。
職人さんが布をつまみ、一粒一粒くくることで生まれる技法です。
気が遠くなるほど繰り返される手仕事。
けれど、その手から生まれる凹凸には、どこか人の温もりが宿っているように感じます。
触れたときに感じる柔らかさや優しさは、技術だけではなく、その人の手が生み出したものだからかもしれません。
布の向こうに見える人の姿
有松の工房を訪れた際、
技術の素晴らしさだけでなく、
そこに関わる方々の想いに心を動かされました。

長年受け継がれてきた技術を守りながらも、
新しい表現や可能性に挑戦し続けること。
有松で出会った職人さんたちからは、
伝統を守ることと、新しい表現を生み出すことを両立する強さが伝わってきました。
50年もの間、染色を続けてこられた職人さんが、
「今いる職人さんがいるから、伝統を守りつつも進化し、素晴らしいものが作れる。」
そう話してくださった言葉が、今も心に残っています。
受け継がれてきた技術への深い愛情。
そして、それを支える人への敬意。
工房で出会ったのは、
確かな手仕事だけではなく、
ものづくりに向き合う温かな人柄でした。
布に刻まれた時間を受け継ぐように
私が長年使用している絞り地も、
そんな手仕事の積み重ねの先に生まれています。
Orinuvaでは、やたら三浦絞りの立体感を活かしながら、
形状記憶加工によって生まれた特別な生地を、
一輪の花へと仕立てています。

職人の手から生まれた布に、
私もまた手を重ねる。
その時間は、何かを作るというより、
受け継ぐという感覚に近いのかもしれません。
布に刻まれた時間や想いを、
そのまま装いの中へ届けたい。
そんな気持ちで、一輪一輪制作しています。
有松絞りに惹かれ続ける理由
ただ美しいだけではなく、
人の想いや時間が宿るもの。
だからこそ、
有松絞りと出会って7年が経った今も、
私は変わらず、その温もりある美しさに惹かれ続けています。

今年も有松絞りまつりの季節がやってきました。
街を歩くと、反物や浴衣だけでなく、
そこに関わる多くの人たちの手仕事に出会うことができます。
もし訪れる機会がありましたら、
美しい絞りの布だけでなく、
その背景にある手仕事にも目を向けてみてください。
きっと今までとは少し違った景色が見えてくるはずです。
■Orinuvaのウェブトップページでは、
工房や職人さんたちの手仕事の様子を動画でもご紹介しています。
ぜひそちらもご覧いただけましたら嬉しいです。


