一反の布が、一着になるまで ─ 有松絞りと過ごした時間
- 2 日前
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7年前の出会いから、何度も足を運んでいる、有松の町。
今年も絞りまつりの季節が、来月へと近づいてきました。

昨年は、一目惚れした絞りの反物を初めてお迎えしました。
深い藍色の中に、職人の手仕事による細やかな凹凸が浮かび上がる一反。
光の加減によって、静かに表情を変えていく反物でした。
反物のまま眺めていた時間、
仕立て上がりを待つ時間、
たとう紙を開く瞬間を想像しながら過ごした日々。
その見えない時間も含めて、私にとって大切な体験となりました。
絞りの反物との出会い
今回迎えたのは、山上商店さんで出会った一反。
有松絞りの浴衣を、反物から自分用に仕立てていただくのは、
今回が初めての経験でした。

反物を選ぶ時間は、 “服を買う”という感覚とは少し違い、
これから長く共に過ごすものを迎えるような、静かな高揚感がありました。
昨年は例年以上に、有松へ足を運び、
職人さんのお話を聞かせていただく機会にも恵まれました。
・図案、
・型彫り
・絵刷り
・括り
・染め
・糸抜き
・湯のし
・仕立て
有松絞りの工程には、たくさんの職人さんの手と想い、
長い時間が重なっています。
いくつもの工程を重ね、
何人もの職人さんの手を経て、
一着の浴衣が生まれていく。
その背景を知るほどに、
袖を通せること自体が、特別なことのように感じられます。
絞りの浴衣-仕立て上がりまでの時間
仕立てをお願いしていた方から、
巾出しの様子を写真で送っていただいた日。

たとう紙の紐を解く前から、
すでに物語が始まっているような気がしました。
完成を待つ時間にも、豊かさがある。
そんな感覚を、久しぶりに思い出した気がします。
そして、仕立て上がった浴衣に初めて袖を通した日は、
“着る”というより、その時間を纏うような感覚がありました。
肩にかけ、
袖を通し、
帯を結ぶ。
その一つひとつの所作が、
いつも以上に特別に感じられた一日。
「着る」という行為そのものが、文化なのだと改めて感じました。

暮らしとの繋がり
大量に消費され、すぐに手に入るものが増えた今だからこそ、
時間をかけて迎えるものの豊かさに、以前より心が惹かれるようになった気がします。
手しごとの温度を感じられる衣服。
何年も大切にしたいと思えるものが、暮らしの中にあること。
そんなに多くはなくても、
いつか子どもへ譲りたいと思える一着に出会えたことを、嬉しく思います。
Orinuvaでは、
有松絞りの技術から生まれる美しさを、髪飾りというかたちで取り入れています。
背景にある、長い時間をかけ人の手によって受け継がれてきた静かな時間。
これからも、その美しさや温度を、
自分なりのかたちで少しずつ伝えていけたらと思います。


