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挿頭(かざし)とは?|日本の髪飾りの歴史と文化・Orinuvaが大切にする美意識

  • 2 日前
  • 読了時間: 4分


なぜ、私は髪飾りをつくり続けているのか。

その問いに向き合うとき、必ず思い浮かぶのが、日本の古い文化「挿頭(かざし)」です。



髪に何かを挿すという行為


日本では古来、花や枝葉を髪に挿す風習がありました。

それは単なる装飾ではなく、季節を身にまとうこと、自然への祈りを添えること、

そして邪気を払う意味も込められていたとも言われています。


とくに平安時代の宮廷文化では、貴族女性が桜や藤、菊など、四季折々の花を髪に挿していました。

そこでは季節性が何よりも重んじられ、自分の感情や美意識を、

言葉ではなく「選ぶ花」によって表していたとされています。


髪に何かを添えるという行為は、誰かに見せるためだけのものではなく、

自然とつながり、自分自身を整える静かな所作でもあったのです。



日本の髪飾りの歴史



目立たぬものに宿る、日本の美意識


挿頭文化の魅力は、決して誇張しないところにあります。

花をひと枝、そっと添える。色をひと差し、静かに加える。

それだけで、佇まいが変わる。


小さなものに意味を込め、目立たぬ部分にこそ心を宿す。

その感覚は、日本文化に通底する美意識とも重なります。


かんざし・日本の美意識



現場で心を奪われたもの


私はかつて、ブライダルの現場でコーディネートや美容の仕事に携わっていました。

そこで何度も心を奪われたのは、装飾そのものの華やかさではなく、

愛情に包まれ、祝福に囲まれ、内側から満ちたときの、お二人の表情でした。


満たされた心は、静かに、けれど確かにその人を輝かせる。

そして、その表情に寄り添う存在が「髪飾り」でした。

顔まわりという、最も視線が集まる場所で、主張しすぎることなく、けれど確実に印象を整える存在。


その経験から私は、単に美しいデザインのアクセサリーではなく、

素材やモチーフに物語や意味を宿し、内面の美しさをそっと引き立てる髪飾りを届けたいと考えるようになりました。


オーダーメイド制作では、花嫁さまの背景や想いを重ねるように一点を仕立ててきました。

そしてその姿勢は、Orinuvaでも変わっていません。


結婚式・オーダーメイド髪飾り



Orinuvaと、かざしの精神


Orinuvaは、洗練された造形やファッションとしての美しさだけを追求するものではありません。

一品一品に、素材の背景や文化の時間、そしてデザインに重ねた想いを編み込むこと。


それは、平安の宮廷で花を選んだ女性たちが、自らの感性や美意識を託した姿と、どこか重なります。


オーダーメイド制作を重ねる中で、私は多くの伝統工芸士や職人の方々と出会ってきました。

有松絞り、伊賀組紐、ガラス、金工—

素材や技法は違っても、そこに流れていたのは、手間を惜しまず、素材と対話し、時間の積み重ねを尊ぶ姿勢でした。


静かに手を動かし続けること。

変容しながらも、本質を守り抜くこと。


その在り方に触れるたび、精神性や見えない時間を内に宿した素材や手仕事を髪飾りへと重ねていくことは、

挿頭文化が大切にしてきた“意味を身に添える”という感覚を、

今という時代の中でより深めていく営みなのだと感じています。


髪飾りは主役ではありません。

けれど、表情のすぐそばで、その人の佇まいと心を静かに整える存在です。


古来の挿頭の精神が、現代の装いの中にそっと宿る。

Orinuvaは、その橋渡しをしたいと願っています。


日本の工芸・髪飾り



小さな“かざし”がつなぐもの


卒業式や入学式、七五三、結婚式—

一生の節目に髪飾りが選ばれるのは、

単なる習慣ではなく、どこか必然のようにも思えるのです。


髪に何かを添えることは、自分自身と向き合い、心を整える行為でもあるからです。


小さな“かざし”が、文化と人、そしてその人自身の内面をつなぐ入口であれたら。

そんな願いを込めて、今日もものづくりを続けています。



晴れの日の髪飾り




English Summary

The Cultural Meaning of Kanzashi


In Japan, the act of placing flowers or leaves in one's hair—known as kazashi—has long symbolized a connection to nature, seasonal awareness, and quiet personal expression.During the Heian period, noble women selected seasonal flowers not only for beauty, but as a subtle reflection of their emotions and aesthetic sensibility.

Orinuva embraces this spirit of “meaningful adornment.”Our hair accessories are not merely decorative objects, but pieces that carry stories, materials, and cultural memory—quietly supporting the wearer’s inner radiance.

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