静かな光をまとう ― 「八光 − 八角ガラス簪」が生まれるまで
- vitviby
- 7月16日
- 読了時間: 3分
古い日本家屋で、雪見ガラスのある暮らしをしています。
澄んだ光、風に揺れる草木の影がゆっくりと映り込むさま。
ガラス越しの景色から、季節や時間のうつろいを感じることが、静かな楽しみです。
ぼんやりと、でも、その先を愉しむ余白—— それはまさに、日本らしい美意識だと感じています。
この感覚を、今のかたちで伝えたくて。
職人さんとの打ち合わせを始めたのは、もう一年も前のこと。
やっと、思い描いた簪が仕上がりました。

簪-八角形というかたちに込めたもの
八角形は、古くから「八方を照らす光」「調和」「繁栄」などを象徴する縁起の良いかたち。
東洋でも西洋でも、八は新たなはじまりや再生を意味するかたちとして用いられてきました。
この簪は、どの方向から見ても美しい八角のフォルムに、やわらかな光を受け止めるヴィンテージガラスを組み合わせ、身につける方の佇まいにそっと寄り添うようなデザインを目指しました。

ガラスには、日本で建具などに使われていたヴィンテージのダイヤガラスをセレクトしました。
現代ではもう作られていないレトロな魅力、光を反射し輝くカット、ぼんやりと景色を映すさま、光の透け方は、まさに雪見障子のように、風景の奥行きを感じさせてくれるもの。
実際に簪として身につけると、光がすっと通り抜け、その日、その時間の太陽の角度や、目の前にある緑、空の色、建物の色までも、 ほんの少しだけ違った景色としてガラスに映し出されるのです。
ただ身につけるだけではない、 “見る愉しみ”もあることが、このガラス簪の大きな魅力のひとつです。

試作と対話の時間がつくったかたち
この簪は、構想から約一年、職人さんとのやり取り、試作を何度も経て生まれました。
こだわったのは、手仕事ならではのガラスの爪留めの部分。
長く愛用していただけるもの、そしていつかお子さまや大切な方へ受け継いでいただけるように、修理可能な構造で、 「流行にとらわれない、凛としたデザイン」、 なおかつ洗練された直線美を目指しました。


繊細であること、でも強度も保つこと。
試作では、細すぎて折れてしまったこともありました。
爪〜簪部分の長さ・太さまで、強度と美しさのバランスを調整しながら、何度も検討を重ねて、ようやく完成した一本です。
シルバーはシルバー950を。
ゴールドは、シルバー950に肌馴染みのよい14金コーティングをしています。
簪を受け継がれる装身具として
ジュエリーや簪は、時に「節目の記憶」として残るもの。
この簪を手にしていただいた日、身に着けていただいた日々、大切な方へ受け継いでいただいた日など、想い出の記憶を刻むものであってほしいと願っています。
そして、時間が経ったあとに「この簪はね」と、誰かに語ってもらえるような装身具を目指して。
この「八光 − 八角ガラス簪」が、 皆さまの日々に小さな光と記憶を添えられますように。

【八光 – 八角ガラス簪】 14金ゴールド/シルバー950
✴ オンラインショップにて販売中
✴ 阪急うめだ本店〈きもの売場〉にてお取り扱いいただいております。